Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
一三
腰を曲げて手を延ばした。地面の一所へ手を触れた。と、何かを握ったらしい。それをグイと持ち上げた。それは鉄の輪であった。ウーンと其輪を持ち上げた地面へポッカリと口が開いた。
この時三日月が空へ出た。
一三
老人は穴を覗き込んだ。恰度人一人這入れる程の、それは四角の穴であった。石の階段が出来ていた。階段と云っても、二三段しかない。
老人は階段を下りて行った。下り切った所で、四方を見た。そこは家の床下であった。その床下を一杯に充し、巨大な何かが置いてあった。四辺が朦朧と薄暗いので、はっきり見ることは出来なかった。しかし夫れは動物では無かった。それは製造られた物であったとは云え夫れは動くものであった。生物で無くて動くもの? 一体何ういうものだろう?
形はキッパリした長方形で、そうして其色は真黒であった。骨が縦横に突っ張っていた。そうして夫れは扁平であった。地面一杯に拡がっていた。
「思った通りだ」と老人は云った。「どれからくりを調べてやろう」
老人はやおら腰をかがめた、突然床下が真暗になった。石階のある出入口から、薄蒼く射していた戸外の夜色が、俄に此時消えたのであった。