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Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

一五

「俺は働くのが厭になった」

「アッハッハッハッ然うだろうて。そいつも眠剤の性質だ」

「俺は動かず働かず、眠剤ばかりを飲んでいたい」

「いと易いことだ、持って行きねえ。沢山眠剤を持って行きねえ。伝手に吹管を持って行きねえ。そうだ二三本持って行きねえ」

「や、そいつあ有難え。では、遠慮無く貰って行こう」

「いいともいいともさあ持ってけ」

一五

老人は二本の吹管と、箱に詰めた眠剤とを取り出して来た。

「ところで」と老人は笑い乍ら云った「お前、尾張様へ取り入っているそうだな」

「うん」と云ったが渋面を作った。

「どうやらお愛妾お半の方と、仲が悪いということだが」

「そんなこと迄知ってるのか?」

「そこはお前蛇の道は蛇だ。そんな事ぐらい解っているよ」

「へえ然うかい、驚いたなあ」香具師は不快な顔をした。「だが一体お前さんは、どういう素性の人間なんだい?」

「そいつあお互云わねえ方がいい。その中自然と解るだろうよ」

「兎に角只の鼠じゃあねえな」

「ナーニ案外白鼠かもしれねえ」

「どう致しまして、大悪党だろう」

「お前こそ何ういう人間なんだい?」老人はヘラヘラ笑い乍ら訊いた。

「お前が云えば俺も云うよ」