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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

中通りの南よりに、安八百屋と呼ばれる八百屋がある。ほかの店より三割がた安く売るそうで、かなり遠くからも買いに来る客があり、そのためそんな呼び名が拡まったものらしい。看板には「八百辰」と書いてあった。

その八百屋と、靴の修繕をする小さな店のあいだに横丁があり、でこぼこで水溜りなどのある道が百メートルほど、西へむかって延びている。道の左右は古びて忘れられてしまったような、小さな家並が続き、そこを通りぬけると広い荒地へ出る。

そこは草原でもなくあき地とも云えなかった。赭土まじりの地面に、ところどころ草が生えているのは、老衰して毛の抜けた犬の横腹のようであり、見る限り石ころや欠け茶碗や、あき罐や紙屑のちらばっている中に、ひねこびた櫟が五、六本かたまっていたり、幅二メートルほどのどぶ川を挾んで、灌木の茂みがあったりするが、ぜんたいの眺めから受けるものは荒廃という感じでしかなかった。

六ちゃんはその原っぱを横切ってゆく。まばらに生えた草の中の踏みつけ道は、やがてどぶ川に遮られる。それは荒地のほぼ中央にあり、一メートル五十くらいの深さで、両岸から蔽いかかる雑草や灌木をすかして見ると、油の浮いた青みどろの水の淀みに、欠けた椀や皿や、折れた箸や穴のあいたバケツなど、すでに役目をはたしたあらゆる器物、またしばしば、犬や猫