Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
半助と猫
「話は聞いたよ、僕のワイフだって、ふん」と奥さんは鼻をならした、「あたしがおまえのワイフかい、笑わしちゃいけないよ」
これはどういう意味であろう。島さんはただ黙って、盃に残っている冷えた酒を啜った。
半助と猫
半助の家はいつもしんとしていた。彼は独身で、とらという猫がいっしょに住んでいる。どんな稼ぎをしているのかわからない、ときどき小さな風呂敷包を持ってどこかへゆき、帰りにはその包が大きくなっている。日用品とか食物にちがいないので、でかけるときの包には、稼ぎのもとがはいっているのであろう。とすれば、――一日じゅう家にいるのだから、内職をしているには相違ないのだが、なにをしているかということは、誰にもわからなかった。
半助は五十がらみで、髪は青年のように黒ぐろと濃いが、躯はしなびた糸瓜のように痩せていた。血のけのない壁土色のおもながな顔は小さく、いつも誰かに殴られるのを恐れているような、卑屈な、おどおどした眼つきをしていたし、人と話すときには、それがいっそう際立ってみえた。――彼はいつも誰かにあやまっているようだし、自分は自分自身の躯のうしろにちぢこまっているようだ。