Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
枯れた木
出入り口はひらき戸だが、躯を跼めなければならないほど小さく、南側に一メートル四方ばかりの窓が一つ、それも手作りで、くもりガラスが篏めてあった。
人の住んでいる家は生きているようにみえるものだ。住んでいる人によっては、その家が性格を備えているようにみえる場合さえ少なくない。――平さんの「小屋」は平さんの手作りだから、もっとも単純に彼の性格をあらわしている筈である。その筈であるのに、小屋はまったく無性格で、些かの特徴もなく、古材木と古板を寄せ集めた「小屋」という以外には、なんらの意味もふぜいも感じられなかった。
こういう「街」の住人たちは、その貧しい住居のどこかを、なにかのかたちで飾ろうとする。釣忍を吊るとか、欠けた鉢で朝顔を育てるとか、軒先の僅かな地面に草花を植えるとか、または朽ちかかったような自分の住居の、柱や敷居を拭きみがきしたり、羽目板や戸袋を飽きずに水洗いするとか、その人その人の美的感覚と好尚によって、それらから謙遜な慰安とくつろぎを得ているようであった。
平さんはそんなことはしなかった。そこはどの長屋からもはなれていて、まわりは不毛の空地であり、地面は砕けた瓦や瀬戸物や、コークス殻などで蔽われているため、草も満足には生えないし、平さんの足でできた踏みつけ道が、道ともいえないほどかすかに、その空地