Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
倹約について
「だって現の証拠、あたしには子供がないじゃないの」とお光は云った、「あんたそれ知らないの」
「知らないわ、そんなこと」
「一つも知らないの、――へえ暢気なものねあんたたち」光子は坐り直した、「いいわ、あんたのとこだって子供はもうたくさんでしょ、とし上のあんたにこんな話するのはなまいきなようだけれど、簡単なやりかたを二つ三つ教えてあげるわ」
それから約二十分、光子が各種の姿態と動作を示しながら、呼吸と力のいれどころなどについて語り続けるのに、ますさんは幻滅した人のような顔で欠伸をし、また仕事を始め、「じゃがへびを呑むみたいなことを云う人だ」と口の中で呟いた。光子はまだ熱演を続けていた。
倹約について
東の長屋の、水道端に近い端の一軒に、塩山慶三の家族が住んでいた。妻の名はるい、娘が三人あって、長女のはるが十二歳、二女のふき子が十歳、三女のとみ子が八歳であった。――これは一家が長屋へ移って来たときの年齢で、塩山は四十がらみ、郵便局の配達をしていた。
塩山一家は、妻女るいさんの采配よろしきを得て、勤勉、倹約、質素、温順、清潔などの美徳をそなえた、善良な市民の典型のような生活を実践していた。