Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「問題は台所なんだな」父親は眼を細めて、自分の想像に具体性を与えようとする、「つまり日本式にするか」彼はまた手でなにかの形を空に描く、「それともガス・レンジやフライ用の鉄板を備えた調理台のある、洋式のものにするかさ」
「うん、そうだね」子供は用心ぶかく眉をひそめて云う、「それはまだ、いそがなくってもいいんじゃないかな」
「それはそうさ、べつにいそいでるわけじゃないんだよ、そんなわけじゃないが、建物や庭はすっかり相談がまとまっちゃったしさ、そっちはもう出来ちゃったのも同様だからな」
「そうか、ほんとだ」子供はなにか重い物でも背負いあげるように答える、「――じゃあ、やっぱり台所だね」
父親はぶしょう髭の伸びた頬をぼりぼり掻きながら、台所を日本式にするか、それとも洋式にするかについて語る。それはまた当分のあいだ、というよりもできる限りながく、父と子のたのしい話題となるにちがいない。――二人はぴったり寄り添って街をゆき、或るときは草原に腰をおろし、夜はまた狭くて暗い小屋の中で、空腹をまぎらかしながら語りあうのであった。
父親にとっては残念だったろうが、室内調度が洋館の応接間まで進んだとき、子供が死んだ。