Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「きみ、やったね」島さんは彼に向って、にっと笑いながら云った、「なにか大でいりでもあったのかい」

「なんのことです」

「隠すなよ、ゆうべおまわりが来ただろう」

「知ってるんですか」

「ぼくのうちへ先に寄ったんだ、きみも相当な顔らしいな」

「云わないで下さいよ」彼は得意になり、それを隠そうとして頭を掻いた、「ときどきようすをみに来るんです、うるさくってしょうがねえんだが、まあ警察としても役目でしょうからね」

「それほどの顔だとは知らなかった、み直したよ」

「云わないで下さいよ」彼はプロの博奕打ちらしくてれてみせた、「あっしなんざ、まだほんのかけだしなんだから」

徳さんはこの話を、知っている人たちみんなに語った。島さんにとんだところを見られちゃってね、とか、下っ端ならこんなことはないんだが、とか。おれが幹部になるってことを警察ではもう勘づいてるらしい、などとさえ云うのであった。

その徳さんが結婚したのだ。彼は或る夜、結婚したというその若い女を伴れて、近所の家をずっとまわった。

「こんど女房を貰いましてね」と彼はその妻を紹介した、「としは十八、名めえはくに子ってえんです、どうかよろしく」