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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

寒藤先生の心臓は十八歳の少年のようにふくれあがり、かつ激しく肋膜の裏を乱打した。せい子がそれを確認したことにも疑いはない、なぜかなら、彼女はその貧しい稼ぎにもかかわらず、顔におしろいを刷き、口紅を塗り、寒藤先生が来る日にはご馳走を作って、その膳の上に酒さえも出すようになった。

焼酎はおからだに毒だから、とせい子はじつのこもったことを云い、先生をながし眼にみつめた。また、酌をするときには左手で右の袂を押えるという芸のこまかいところを演じてみせ、先生がすすめれば、羞みながらも杯を受けた。

たとえ寒藤先生が朴念仁であるにせよ、こうまでされて安閑としてはいられない。先生は自分がなにか云いださなければならない立場に立ったことを悟り、まず「そんな亭主とは離婚すべきである」こと、そしてじん少年の将来のため、誰か教養のある、しっかりした人物と再婚すべきこと、などから説きはじめ、せい子がいちいち尤もであると頷き、先生に突撃路をひらいてやるためだろう、手を伸ばして先生の膝をやんわりと押えた。すると、先生の舌がまた自己主張を始めた。

大ビスマルクいわく、勝って奢らざるは将の将たる者なりと。