Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「けしからんですね、先生」買って来た焼酎で、先生とふつか酔いに活を入れながら八田塾生は云った、「いま酒屋でちらっと新聞を見たんですが、右翼団体の全国大会が公会堂で開かれてるそうじゃありませんか、先生のところへ招待が来ないのはどういうわけですか」
先生はちょっと考えてから、憐れむように青年の顔をみつめた。
「きみはもっと自分の立場をよくみなければいけないな」と先生は云った、「いま公会堂へ集まっているやつらは小物だ、右翼団体などと僭称しておるが、人物らしい人間は一匹もおらん、みんな木っ端のようなやつばかりなんだ」
「しかしですね、大義公平先生とか国粋純一先生とか」
先生は頭を振り手を振った。
「また神州男児先生などという人たちの名もありましたよ」
「それがどうした」寒藤先生は唇をへの字なりにした、「公平も男児も純一もぼくは知っている、かれらは葦原瑞穂の門にいたが、みんな破門同様になって放逐されたやつらだぞ、真に国家万代のためを思うより、権門富貴に媚びて虚名を偽り、良民を威して金銭をむさぼり」
八田塾生はさも感じいったという顔つきで、先生の旺んな慷慨に聞き惚れていた。