Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

かつ子は唖者のように口が重く、話しかけても殆んど返辞をしないが、おたねは返辞を促したためしがない。返辞をされなくとも、話したいと思えば話しかけるだけで、返辞をしないからはらをたてるとかもう話しかけてはやらない、などということは決してないのだ。

「おまえは人類学的な存在じゃないな」と京太は云う、「おまえは動物学的でもない、もはや植物学的な存在だと云うほかないね」

かつ子が小学校を卒業したとき一度だけ、おたねは亭主と少しやりあった。

京太はこれ以上かつ子を学校へやることはないと主張し、おたねは仕送りがあるのだから中学だけはやらせたいと云った。仕送りだって、笑わせちゃあいけない、と京太は云った。あんなやみの子を押しつけられて、これっぱかりのはした金を仕送りなんぞと云えた義理か、酒もろくさま飲めやしないぞ。それはそうだけれど、いまは中学までが義務教育だから、とおたねはねばってみた。そしてさらに二、三の応酬があり、京太は急に妙案をだした。じゃあこうしよう、かつ子を中学へあげるについて出費が嵩むから、仕送りをこれまでの倍にしてくれって、そう云ってやろうじゃないか、もし時岡でそれを承知したら、ぼくもまた考えることにするよ。