Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
そこで京太自身が眼をつむったのだが、つむった眼の裏にかつ子のみひらいた眼がみえるというようすで、すぐに眼をあき、眼をつぶれ、とするどい声できめつけた。
かつ子の唇がゆっくりひろがって、歯がみえた。微笑したようでもあるし、あざけっているようにも感じられた。京太は骨まで凍るほどぞっとし、慌ててまた眼をつむった。かつ子はついに眼をあいたままでいたし、一と言も口はきかなかった。
「女ってものはなあ、おやじ」京太はのんべ横丁の、おでんの屋台店で飲みながら、店の老人にそういった、「――十五でも三十でもおんなじようなところがある、三十四、五にもなるのに、或るときひょいと見ると、十四、五の娘っこのようなあどけない顔つきをしていることがあるし、また、十四、五の娘のくせにひょっとすると、三十五、六の女みたような眼で、じろじろ男を見ることもある、――魔ものだねあれは」
「たいしょうが女の話をするなんて、珍しいじゃありませんか」
「女ってものはな、おやじ」京太はなお云った、「あれは人類学で論ずべきもんじゃないぜ、あれは博物学、――いや、妖怪学、でもねえか、むしろあれは、うん、やっぱり妖怪学の対象だぜ」