Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「だからあたし、いつでも大いばりで古市へ帰れるのよ」光子はうっとりしたように眼を細めて云う、「財産のことでなにか云われやしないかと思って、弟たちの騒ぎはそれこそたいへん、少し大げさに云うと、楽隊付きで駅へ出迎えるような騒ぎだわ、ねえいいでしょ、は、じ、めさん、いちどいっしょに帰りましょうよ」

相沢七三雄はごくときたま、少しよけいに儲けのあった日に、福田くんをさそって酒を飲む。彼は酒にはめのないほうだが、家族が多いからどんなに稼いでも、なかなか酒を飲むほどのゆとりはなかった。

そのうえ、飲むといっても九割までは焼酎であるし、特に、ブドー酒を混ぜた「ブドー割」という焼酎は早く酔いがまわるので、多くはそれを常飲するのであった。

「世間にゃあおめえ」と相沢は少し酔うときまってそう云った、「まいにち晩酌をする者もあるって云うぜ、まいにちだぜ福田くん、――おらあ死ぬまでに一度でもいいから、そういう身分になってみてえと思うね」

「ぼくはあんたにだけ云いますがね、ここだけの話だけれど」と福田くんは或るとき思い切ったように云った、「まいにち晩酌なんかしなくってもいいが、光子のやつと別れられたらなーって、ただそれだけが望みですね」