Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「簡単じゃねえか、民主主義の世の中になったんだ、別れたければさっさと別れればいいさ」
「だから、それができたらなーっていうんですよ」
「できたらなーって、できねえわけでもあるんかい」
相沢は世にも訝しいことを聞くものだという表情で、まじまじと福田くんを見まもった。
「相さんは光子のことを知らないんだ」と福田くんは云った、「光子のやつはね、なにか憑きものでもしているような、へんにきみのわるいところがあるんですよ、たとえばあいつは決して大きな声をださないでしょ、喧嘩になってもにやにや笑って、しずーかな声でなにか云うんです」
「そうだな、そいつは確かだ」と相沢はブドー割を啜る、「――たまにちょっとした声が聞えるなって思うと、――まあいいや、で、静かな声がどうしたんだい」
「こっちで考えてることをずばっと見ぬいちゃうんですよ、はらの中で別れたいなとぼくが思うとしますね、すると光子のやつはにーっと唇で笑って、あんたあたしと別れたくなったのねって、しずーかな声で云いながら、眸を凝らしてぼくの顔をじーっとにらむんです、こんなふうにね」福田くんはそんなような眼つきをしてみせる、「また今日は躯がだるいから、稼ぎにゆくのはいやだなと思う、するとあいつは唇でにーっと笑って、たまには休んだほうがいいわって云って、眸を凝らしてじーっとぼく