Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「そうしてこうするんです」と彼は云った、「ぼくの眼をじーっとみつめたまま、唇でにーっと笑ったままですよ」
「あのときでも眼をあいたままなのかい」
「ずーっとです、ぼくにも眼をあいていろって云ってきかないんですよ、いやだなぼくは」福田くんは頭を振り、唇を閉じてぐっと横にひろげる、「まったくいやだ、はんにゃみたいな顔になるでしょ、ぞっとするな」
「はんにゃだって」
「ちょっとのまだけど、そんなようなもの凄い顔になるでしょ、はんにゃのお面そっくりだな、あれは、ぼくはいやだ、ぞーっとしちゃいますよ」
「ああ、ああそうか」相沢はようやく事理を解いたように大きく頷いた、「――はんにゃねえ、人によって違うだろうが、そいつはぞっとしそうだな」
「だからぼくは眼をつぶっていようとするんですが、光子のやつは眼をあけ、って云ってきかないんです」
「好きずきだな、ああ」相沢は首を左へひねり、右へひねりしながら、複雑な微笑をうかべた、「好きずきだ、人間てやつは千差万別だっていうからな、おれのかかあなんざ、――まあいいや、ま、とにかく、そういうことだとすると、早く別れちまうよりほかに手はねえな、さもねえときみ、本当に生き死にの問題になるかもしれねえよ、ああ」