Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
通夜にいった人たちは、はるが人間のようではなく、かさかさに干しあがった枯れ木の、細い枝のようになっているのを認めた。
「あたしゃ田舎にいるとき、お盆にお寺まいりをして、地獄の絵を見たことがあるけどさ」とかみさんの一人が通夜のあとで云った、「その中に餓鬼地獄とかなんとかいって、骨ばかりみたいに痩せた亡者の絵があったよ、はるちゃんはその亡者にそっくりだったね」
「あれは病気で死んだんじゃない、飢え死にだよ」とべつのかみさんは云った、「肺病だってのに卵一つ食わせたようすもないんだから」
たまに鰯を買えば、半日も水洗いをするんだから、身にも皮にもなりゃあしない、と他のかみさんも付け加えた。
「さあ」と初七日が済んだとき、おるいさんは亭主と二人の娘に向って云った、「これではるちゃんのことは忘れるのよ、はるちゃんのために貯金をずいぶん使っちゃったからね、その分を取返すためにもうんと稼がなきゃ、ふきもとみもわかったね」
慶三がまず頷き、娘二人が頷いた。おるいさんはまじめだった。近所の人たちがなんと云おうと、はるのためにできるだけのことをしたのだ。日に一個の卵は欠かさなかったし、中通りの鳥九という店へいって、鶏をつぶすときに絞る生血を貰って来て、これも日に一度は飲ませていた。