Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
曾根は左官の手間取で三十八歳、妻とのあいだに五人の子供があった。そのかみさんはここの女房たちから、鬼ばばあと呼ばれていたが、とぎすのように痩せて色が黒く、抜けあがった狭い額の下に、鷲のようなするどい眼が光っている。頬骨は尖って高く、いつも紫色の薄い唇は、きっと一文字にむすばれていて、蓋を閉じたはまぐり貝のようにみえる。――としは三十五歳だが、誰もそれを信じる者はいない。四十五、六だという者が大部分であり、五十歳より下ではないと断言する者さえあった。
彼女はお琴という名であるが、女性とはうまが合わないようで、苦情を云うとか怒るとか、自分のほうに云い分のあるときだけは口をきくが、さもなければ朝夕の挨拶もしないし、挨拶をされても返辞はしないのであった。その代り男性とはうまが合うのだろうか、老人でも若者でも、男に対して常に関心があるらしく、男を見ると眼の色が変る、と云われていた。
お琴は近所のかみさんたちに、刷毛屋の妻のみさおとよく並べて噂をされた。躯つきや風貌も共通した点が多いし、男好きなところもよく似ているというのである。
「でも刷毛屋の人のほうがまだましだね」