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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「やあ、よく精が出ますね」と女性か老人のときにはやさしく云う、「坊やの風邪はどうです、熱はさがりましたか」

こういうあいそを云わないときでも、顔いっぱいに笑って、こくんとおじぎをしながら、「やあ」と明るい声で会釈することは決して忘れなかった。

そうして、ステッキを腕に掛けた島さんが、躯を一方にかしげ、次に反対側へかしげ、また一方へかしげながらあゆみ去る姿にも、そんなあるきぶりをたのしんでいるようにみえ、すると人びとは島さんに対して、尊敬とあたたかいしたしみを感じるのであった。

島さんは「街」へ移って来て二た月めくらいに、なにがし興信所へ就職した。

彼は古物商の小田滝三と、隣りの富川さん、そして寒藤先生と岡田辰弥少年の四人に、新しい名刺を出してそれを告げた。

「こんどまた一杯やろう」と島さんは岡田少年に云った、「英語のほうはどうだ、夜学へはちゃんとかよっているのかい」

少年は首を振った、「夜学じゃありません、午後の部です、まだかよってますよ」

彼の勤めている大新聞社の係長が、彼を夜勤にまわしてくれたので、学校の午後の部へかよえるようになったのだ、と少年は簡単に説明した。