Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

月賦のズボンをよごしたのではないか、二つの丼を安定させながら、島さんはそう問いかけようとしたのであるが、その瞬間にいつもの発作が起こり、それがけけけけふんと鼻へ抜けるまで、問いかけを待たなければならなかった。

「オッケー、大丈夫だ」

松井くんはズボンの膝を撫でながら答え、眼の隅で勝手のほうをにらんだ。島さんは品のいい顔をほころばし、はじけタバコについて語りだした。三人の客たちは、怒りをいっぱいに詰めた風船だまのような顔になり、それでも島さんの胸の中がどんなであるかを推察して、しらけた気分を隠しながら、島さんの話にあいづちを打った。

そこへ奥さんが勝手から出て来た。片手に風呂道具を抱え、片手に手拭をぶらさげて、口には火のついたタバコを咥えていた。

「湯へいって来るからね」と奥さんは云った、「火はおこってるよ」

そして鼻唄をうたい、ぶらさげた手拭を振りながら、大股に出ていった。客たちは眼を見交わし、島さんは陽気にしゃべりながら、躯を振り振り立っていって、勝手で酒の燗をつけ、――それはガス台でやるのだが、次に二十センチ四方ばかりの板を持って来て、ちゃぶ台の脇に置き、さらに煉炭火鉢を抱えて来て、その板の上へしっかりと据えた。