Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「僕は自分がなんのために生きて来たのか、なんのために生きてゆくのかわからなくなってきた」と辰弥は云った、「あにきは十二のとしに家出をしました、僕は二つだったからなにも知らないんですけれど、戦争が終ってすぐ、おやじが死んでしまって、うちの生活がどん底になったとき、あにきは逃げだしてしまったんです」
父親は軍需機械の下請工場に勤めていて、栄養失調と過労のために、敗戦の年の十月に死んだ。あとには妻と十二になる長男、二歳の二男の三人が残り、長男は父の死後七日と経たぬうちに、ふいと家を出ていったまま、行方不明になってしまった。――そのまえ、彼は学童疎開で仙台の松島へいっていた。期間は二年くらいだったろう、家へ帰ったのは九月末だったから、辰弥は殆んど顔も覚えてはいなかった。そのころ一般の生活がどんなものだったかは、ここに繰り返すまでもない。母は二十一年の二月に再婚した。
底の知れない社会的不安と食糧難、あらゆる物資不足の中で、女一人のゆくさきが心ぼそくなったのは当然だろう。再婚した相手は母より二つ若く、大学を出たサラリー・マンだった、ということであるが、戦後はブローカーのようなことをしていた。