Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
あわれむべきお豊は、川島未亡人のためにはその乱れがちなる胸の安全管にせられ、家内の婢僕には日ながの慰みにせられ、恋しき人の顔を見ることも無うして、生まれ出でてより例なき克己と辛抱をもって当てもなきものを待ちけるなり。
お豊が来たりしより、武男が母は新たに一の懊悩をば添えぬ。失える玉は大にして、去れる婦は賢なり。比較になるべき人ならねども、お豊が来たりて身近に使わるるに及びて、なすことごとに気に入るはなくて、武男が母は堅くその心をふさげるにかかわらず、ともすれば昔わがしかりもしののしりもせしその人を思い出でぬ。光をめる女の、言葉多からず起居にしとやかなれば、見たる所は目より鼻にぬけるほど華手には見えねど、不なれながらもよくこちの気を飲み込みて機転もきき、第一心がけの殊勝なるを、図に乗っては口ぎたなくののしりながら、心の底にはあの年ごろでよく気がつくと暗に白状せしこともありしが、今目の前に同じ年ごろのお豊を置きて見れば、是非なく比較はとれて、事ごとに思うまじと思う人を思えるなり。されば日々気にくわぬ事の出で来るごとに、春がすみの化けて出でたる人間の名をお豊と呼ばれて目は細々と口も閉じあえずすわれるかたわらには、いつしか色少し蒼ざめて髪黒々としとやかなる若き婦人の利発らしき目をあげてつくづくとわが顔をながめつつ