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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

三の三

待っててくれたまえ、ひと走り取って来るから――なに、浪さんは待ってればいいじゃないか。すぐそこだ。全速力で駆けて来る」

と武男はしいて浪子を押しとめ、ハンケチ包みの蕨を草の上にさし置き、急ぎ足に坂を下りて見えずなりぬ。

三の三

武男が去りしあとに、浪子は千々岩と一間ばかり離れて無言に立ちたり。やがて谷を渉りてかなたの坂を上り果てし武男の姿小さく見えたりしが、またたちまちかなたに向かいて消えぬ。

「浪子さん」

かなたを望みいし浪子は、耳もと近き声に呼びかけられて思わず身を震わしたり。

「浪子さん」

一歩近寄りぬ。

浪子は二三歩引き下がりて、余儀なく顔をあげたりしが、例の黒水晶の目にひたとみつめられて、わき向きたり。

「おめでとう」

こなたは無言、耳までさっと紅になりぬ。

「おめでとう。イヤ、おめでとう。しかしめでたくないやつもどこかにいるですがね。へへへへ」

浪子はうつむきて、杖にしたる海老色の洋傘のさきもてしきりに草の根をほじりつ。

「浪子さん」

蛇にまつわらるる栗鼠の今は是非なく顔を上げたり。

「何でございます?」

「男爵に金、はやっぱりいいものですよ。へへへへへ、いやおめでとう」