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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

たちまち長き息つきて、浪子は目を開き、かすかなる声を漏らしつ。

「伯母さまは――?」

「来ましたよ」

言いつつしずかに入り来たりし加藤子爵夫人は、看護婦がすすむる椅子をさらに臥床近く引き寄せつ。

「少しはねむれましたか。――何? そうかい。では――」

看護婦と幾を顧みつつ

「少しの間あっちへ」

三人を出しやりて、伯母はなお近く椅子を寄せ、浪子の額にかかるおくれ毛をなで上げて、しげしげとその顔をながめぬ。浪子も伯母の顔をながめぬ。

ややありて浪子は太息とともに、わなわなとふるう手をさしのべて、枕の下より一通の封ぜし書を取り出し

「これを――届けて――わたしがなくなったあとで」

ほろほろとこぼす涙をぬぐいやりつつ、加藤子爵夫人は、さらに眼鏡の下よりはふり落つる涙をぬぐいて、その書をしかとふところにおさめ、

「届けるよ、きっとわたしが武男さんに手渡すよ」

「それから――この指環は」

左手を伯母の膝にのせつ。その第四指に燦然と照るは一昨年の春、新婚の時武男が贈りしなり。去年去られし時、かの家に属するものをばことごとく送りしも、ひとりこれのみ愛しみて手離すに忍びざりき。