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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

こは浪子の絶筆なり。今日加藤子爵夫人の手より受け取りて読みし時の心はいかなりしぞ。武男は書をひらきぬ。仮名書きの美しかりし手跡は痕もなく、その人の筆かと疑うまで字はふるい墨はにじみて、涙のあと斑々として残れるを見ずや。

もはや最後も遠からず覚え候まま一筆残しあげ参らせ候 今生にては御目もじの節もなきことと存じおり候ところ天の御憐みにて先日は不慮の御目もじ申しあげうれしくうれしくしかし汽車の内のこととて何も心に任せ申さず誠に誠に御残り多く存じ上げ参らせ候

車の窓に身をもだえて、すみれ色のハンケチを投げしその時の光景は、歴々と眼前に浮かびつ。武男は目を上げぬ。前にはただ墓標あり。

ままならぬ世に候えば、何も不運と存じたれも恨み申さずこのままに身は土と朽ち果て候うとも魂は永く御側に付き添い――

「おとうさま、たれか来てますよ」と涼しき子供の声耳近に響きつ。引きつづいて同じ声の

「おとうさま、川島の兄君が」と叫びつつ、花をさげたる十ばかりの男児武男がそばに走り寄りぬ。

驚きたる武男は、浪子の遺書を持ちたるまま、涙を払ってふりかえりつつ、あたかも墓門に立ちたる片岡中将と顔見合わしたり。