Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
今何かいいつけられて笑いを忍んで立って行く女の背に、「ばか」と一つ後ろ矢を射つけながら、女はじれったげに掻巻踏みぬぎ、床の間にありし大形の――袴はきたる女生徒の多くうつれる写真をとりて、糸のごとき目にまばたきもせず見つめしが、やがてその一人の顔と覚しきあたりをしきりに爪弾きしつ。なおそれにも飽き足らでや、爪もてその顔の上に縦横に疵をつけぬ。
襖の開く音。
「たれ? 竹かい」
「うん竹だ、頭の禿げた竹だ」
笑いながら枕べにすわるは、父の山木と母なり。娘はさすがにあわてて写真を押し隠し、起きもされず寝もされずといわんがごとく横になりおる。
「どうだ、お豊、気分は? ちっとはいいか? 今隠したのは何だい。ちょっと見せな、まあ見せな。これさ見せなといえば。――なんだ、こりア、浪子さんの顔じゃないか、ひどく爪かたをつけたじゃないか。こんな事するよりか丑の時参りでもした方がよっぽど気がきいてるぜ!」
「あんたまたそないな事を!」
「どうだ、お豊、御身も山木兵造の娘じゃないか。ちっと気を大きくして山気を出せ、山気を出せ、あんなけちけちした男に心中立て――それもさこっちばかりでお相手なしの心中立てするよりか、こら、お豊、三井か三菱、でなけりゃア大将か総理大臣の息子、いやそれよりか外国の皇族でも引っかける分別をしろ。