Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
七の一
と引き取ってなれぬこととて意に満たぬことあれば、こなたには礼を言いてわざと召使いの者を例の大音声にしかり飛ばさるるその声は、十年がほども継母の雄弁冷語を聞き尽くしたる耳にも今さらのように聞こえぬ。それも初めしばしがほどにて、後には癇癪の鋒直接に吾身に向かうようになりつ。幾が去りし後は、たれ慰むる者もなく、時々はどうやらまた昔の日陰に立ち戻りし心地もせしが、部屋に帰って机の上の銀の写真掛けにかかったたくましき海軍士官の面影を見ては、うれしさ恋しさなつかしさのむらむらと込み上げて、そっと手にとり、食い入るようにながめつめ、キッスし、頬ずりして、今そこにその人のいるように「早く帰ッてちょうだい」とささやきつ。良人のためにはいかなる辛抱も楽しと思いて、われを捨てて姑に事えぬ。
七の一
流汗を揮いつつ華氏九十九度の香港より申し上げ候。佐世保抜錨までは先便すでに申し上げ置きたる通りに有之候。さて佐世保出帆後は連日の快晴にて暑気燬くがごとく、さすが神州海国男子も少々辟易、もっとも同僚士官及び兵のうち八九名日射病に襲われたる者有之候えども、小生は至極健全、毫も病室の厄介に相成り申さず。