Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
その父をも晩年に充分いたわってあげることのできなかった自分を思うと、何んともいいがたい悔恨が私の胸をしめつけて来た。私はしばらくそれを怺えるようにして、父母の墓の前にじっと立ちつくしていた。
そうやって私は二三十分ぐらいその墓のほとりにいてから、漸っとそこを離れて、錆びたトタン塀のほうに寄せて並べられてある無縁らしい古い墓石を一つ一つゆっくり見てゆきながら、とうとうその墓地から立ち出でた。
飛木稲荷の前を東に一二丁ほど往くと、そこが請地の踏切である。私は東武電車で浅草に出ようと思って、その踏切のほうに向っていった。その場末の町らしく、低い汚い小家ばかりの立ち並んでいる間を、私はいかにも他郷のものらしい気もちになって歩いているうちに、こんどは一度、私の殆んど覚えていない生父の墓まいりをしてみるのもいいなと思った。何んでもないようにふらっと出かけていって、お墓まいりだけをして、ふらっと帰ってくる。それだけでいい。だが、その私の殆んど覚えていない生父の墓のある寺は一体何処にあるのかしら。(註一)
なんでも私のごく小さい時分、一度か二度だけ、母にどこか山の手のほうの、遠いお寺に墓まいりに連れられていった記憶がかすかにある。