Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

正勝は唇を噛んで、じっと喜平の顔を見詰めたまま黙っていた。

「謝るのがいやなのか? 謝る理由がねえというのか? 正勝!」

喜平はもう一度、荒々しく床を蹴った。

「謝るのがいやなら出ていけ! この牧場から出て、てめえの好きなところへどこへでも行け! すぐ、いますぐ出ていけ!」

「はあ! いくらでも出ていきますがね」

「すぐ出ていけ!」

「それじゃあひとつ、出ていかれますように、お金を少し都合していただきてえんですが……」

「金? そんなことわしの知ったことか? てめえのような者に金を出してやる理由なんかありゃしねえ!」

「旦那! 昔のことを少し考えてみてくだせえ」

「なにを!」

「旦那は、おれがなにも知らねえと思っているのかね?」

「何を吐かしやがるんだ? たわけめ!」

「おれはこれでも、旦那一家の秘密を握っているんですからなあ」

「秘密? たわけめ! なんの秘密だ? わしを威かして金を出させようというのか? このたわけ者め!」

喜平は立ち上がって鞭を振り上げた。正勝は肘で顔を掩った。鞭はぴゅっと空間で鳴った。

8

紀久子は、ばたりと床の上にくずおれた。

(あらっ! 秘密だなんて、あの人はあのことを言ってしまうのだわ)