Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
街頭の偽映鏡
1
偽映鏡が舗道に向かって、街頭の風景をおそろしく誇張していた。
青白い顔の若い男が三、四人の者に、青い作業服の腕を掴まれて立っていた。その傍で、商人風の背の小さな男が鼻血を拭ってもらっていた。
「喧嘩か?」
その周囲に人々が集まりだした。
「何かあったんですか?」
偽映鏡の中に、無数の顔が歪みだした。
「喧嘩したんですね」
「いや! 気が変らしいんですよ」
「あの髪の長い男がですか?」
青白い顔の男はおりおり、長い頭髪をふさふさと振り立てていた。そして、周りの人たちを睨むような目で見た。
「どうしたんだ? どうしたんだ?」
巡査が群衆を掻き分けてそこへ入ってきた。続いて、二人の男が汗を拭きながら群衆の前に出た。
「喧嘩ではないんだな?」
巡査は自分の後ろについてきた男を見返りながら言った。
「ええ、なにも言わずに、突然がーんと殴りつけたんです」
「きみはどうしてそんな乱暴をするんだね?」
巡査は青白い顔の男の肩に手を置きながら、怒ったような顔をして言った。男はなにも言わずに巡査の顔を見詰めていた。
「気が変らしいんですよ。どうも……」
だれかが傍から言った。