Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
5
房枝は鈴木女教員の視線を避けるようにしながら、静かに首を振った。
「ではどうしたんですの? あなた、吉川先生の蟇口を拾わなかったこと?」
房枝はなんとも答えなかった。ただじっと、鈴木女教員の顔を見詰めた。
固唾を呑むようにして房枝の席のほうを見詰めていた生徒たちが、ひそひそと囁きだした。房枝が拾ったのではないだろうか? そんなことが囁き交わされているのだった。
「房枝さん、あなた本当に知らないのね」
「…………」
房枝は小刻みに顫えながら頷いた。
「では、まあ、あなたは病気なのだから、宿直室へ行って休んでなさい。……ね。さあ、一緒にいらっしゃい」
鈴木女教員はそう言って、房枝を連れて教室を出ていった。
5
「まあ、そこへお坐んなさい」
房枝は宿直室の片隅に坐らせられた。
「房枝さん。あなた、吉川先生の蟇口、ほんとに知らないこと?」
鈴木女教員は机の上に両腕を這わせながら訊いた。しかし、どんなに突っ込んで訊いても、房枝は微かに顫えながら彼女の顔を見詰めるだけだった。彼女の気持ちはますます焦れていった。
「もしお金が欲しいのならお金は先生が上げますから、吉川先生の蟇口はお返しなさい。