Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
暗がりの中には炬火が揺らめいた。
「おーい! 鉄砲を撃ったのはだれだあ?」
犬が遠くで吠え立てている。
「鉄砲を撃ったのはどこだあ?」
「おい! 旦那の部屋に灯が見えるで……」
「あっ!」
「旦那かな? そんじゃ?」
正勝が言った。
「旦那だべ!」
炬火が夜の闇を引き裂いて走っていった。
3
コンクリートの露台に上がると、そこから部屋へのドアは開いたままになっていた。
「おい! ドアが開いてるぞ」
だれかが戸口に立って叫んだ。同時に、牧夫たちはその戸口に殺到した。
「てて、て、大変で……」
部屋の中から婆やが叫んだ。
「あっ! お嬢さまが!」
だれかがそう叫ぶと、牧夫たちは土足のままで部屋の中に雪崩れ込んだ。
「どうしたんだね?」
牧夫たちはまず、鉄砲を持ってそこに呆然と立っている紀久子をその目に捉えたのだった。
「お嬢さまが、て、て、お嬢さまが、て、て……」
婆やは顫え戦きながら吃った。そして、吃りながら婆やは、熊の皮の上に倒れている蔦代の死骸を指さした。
「あっ! 蔦代さんが……」
牧夫たちは驚きの声で叫びながら、蔦代の死骸の上にしゃがみ込んだ。
「触っちゃいけねえ、触っちゃいけねえ。