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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「婆や! お嬢さまに着物を持ってきてあげろよ」

正勝は周囲を目探りながら叫んだが、婆やの姿はどこにも見えなかった。

「婆やは、どこかに腰を抜かしているのかもしんねえぞ」

だれかが言った。それにつれて、初めてようやく微かな笑いが崩れた。

「仕様のねえ婆やだなあ。それじゃ、おれが行って持ってくるかな」

正勝は身動ぎながら言った。

「いいわ」

紀久子は微かに言って、止めた。

「寒くて仕様がねえでしょう?」

「我慢しているわ」

「我慢をしなくたって……」

正勝がそう言って立ち上がろうとしたとき、廊下のほうから腰を引くようにして婆やが出てきた。

「あっ! 婆やが来たか? 婆や! お嬢さまの着物を持ってこう」

「えっ」

「何を婆やは魂消てるんだい? お嬢さまの着物を持ってきてあげろ。外套でもなんでもいい」

正勝が叫ぶように言うと、婆やはまた腰を引くようにして奥へ入っていった。ふたたび重苦しい沈黙が割り込んできた。ストーブの中に薪がぴんぴんと跳ねているだけだった。

正勝は、その重苦しい沈黙の空気の中に堪えていることができない気がした。正勝は沈黙を破るために言った。

「お嬢さま! なにも心配することなんかありませんよ」