Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
しかし、一応は本署の調べも受け、裁判も受けなくちゃならんかもしれんね。そしてその時には、おれとだれか、この牧場のだれかが証人というわけになるだろうと思うが、いったい、いちばん先にこの現場を目撃したのはだれかね?」
「婆や! 婆やだったんでねえか? おれが入ってきたとき、婆やはもう来ていたから」
正勝は横から説明した。
「婆さん! おまえさんかね?」
「はあ!」
婆やは消え入るようにして言った。
「それで、おまえさんがこの部屋へ入ってきたとき、この紀久子さんはどんな風にしていたかね?」
「わたしはなんにも分かりませなんだ。わたしは入口のところで腰を……! 腰を……! 腰がもう立たなくなってしまって……」
「腰を抜かしたというのか? しかし、腰を抜かしたのは、何か腰を抜かすほど驚くものを見たから抜かしたんだろうが、その見たものを聞きたいんだ」
「はあ、わたしはなーに、この部屋へ入ってまいりましたとき、お蔦さんを熊が腹這ってると思ったもんですかんね」
「しかし、蔦代というのが女中とすれば、おまえさんと一緒に部屋にでも寝ていたんだろうが、起きてくるとき蔦代のいなかったことには気がつかなかったのか?」