Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「なーに、お蔦さんは前の日にはいなくなっていたんですかんね。そんで、鉄砲の音がしたもんですから、熊が出たのをだれかが威かしてるのだと思うて、わたしは熊だあ! 熊だあ! って叫んで旦那さ知らせに来ましたら、足下に黒いものがいますもの、熊だと思ってしまって……」
「分かった。それで、蔦代が前の日からいなかったというのはどういうわけかね?」
「それは……」
正勝はひと足前のほうへ出た。
「蔦代はわたしの妹でして、ここに遺書がありますが、一昨日この屋敷から逃げ出したのでございますが、途中から連れ戻って帰ったのでございます。そして、連れ戻りましてからこの事件まで、どこかに隠れていて姿を見せなかったわけです」
「だいたいそれで分かった」
巡査はそう言いながら、正勝の手から蔦代の遺書を受け取って、それにひととおり目を通した。
「これによると主人を恨んでいたようだから、連れ戻されたことを悲観して、恨みのある主人を殺して、自分も死んでしまおうと思ったのかもしれないなあ」
「連れ戻ったときに、父が酷く叱ったのでございます。それから急に姿を隠してしまって……」
「しかし、恨んでいる者を殺して自分も死のうというときに、自分の犯行を発見されたからといってその人まで殺そうとしたのは少しおかしいなあ。