Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

九月×日

朝。

久し振りに、古ぼけた床屋さんの鏡を見る。

まるで山出しの女中さんだ、私は苦笑しながら、髪をかきあげた。油っ気のない髪が、バラバラ額にかゝって来る。

床屋さんに、お米二升お礼に置く。

「そんな事してはいけませんよ。」

お上さんは一丁ばかりもおっかけて、お米をゆさゆさ抱えて来た。

「実は重いんですから……。」

そう云ってもお上さんは、二升のお米を困る時があるからと云って、私の脊に無理に脊負わせてしまった。

昨日来た道である。

相変らず、足は棒のようになっている。若松町まで来ると、膝が痛くなってしまった。

すべては天真ランマンにぶっつかろう、私は、鑵詰の箱をいっぱい積んでいる自動車を見ると、矢もたてもたまらなくなって叫んだ。

「乗っけてくれませんかッ!」

「どこまで行くんですッ!」すべては、かくほがらかである。

私はもう両手を鑵詰の箱にかけていた。

順天堂前で降ろされると、私は投げるように、四ツの朝日を運転手達に出した。

「ありがとう。」

「姉さんさよなら……」

私が根津の権現様の広場へ帰えった時、大学生は、例の通り、あの大きな傘の下で、気味の悪るい雲を見ていた。