Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
秋の唇
「生意気な! 汚ない真似しよると承知せんぞ!」
サッとカーテンが開くと、料理鉋丁のキラキラしたのをさげて、料理人が、一人の若い男の脊を突いてはいって来た。
そのむくんだ顔に覚えはないが、鉄色のその手にはたしかに覚えがあった。
何かすさまじい争闘が今にもありそうで、その料理鉋丁の動く度びに、私はキャッとした思いで、親指のようにポキポキした料理人の肩をおさえた。
「くせになりますよッ!」
機関室で、なつかしいエンジンの音がする。
手をはなすと、私は沈黙ってエンジンの音を聞いた。
秋の唇
十月八日
呆然と梯子段の上の汚れた地図を見ていると、蒼茫とした夕暮れの日射しに、地図の上は落寞とした秋であった。
寝ころんで、煙草を吸っていると、訳もなく涙がにじんで、細々と佗しくなる。
地図の上では、たった二三寸の間なのに、可哀想なお母さんは四国の海辺で、朝も夜も私の事を考えて暮らしているだろうに――。
風呂から帰えって来たのか、下で女達の姦しい声がする。
妙に頭が痛い、用もない日暮れだ。
寂しければ海中にさんらんと入ろうよ、
さんらんと飛び込めば海が胸につかえる泳げば流るる、