Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

寝床のない女

」

「そら人間だもん……。」

古里はいゝナ――

寝床のない女

二月×日

黄水仙の花には、何か思い出がある。

窓をあけると、隣の家の座敷に灯がついて、黒い卓子の上に黄水仙が猫のように見えた。

階下の台所から、夕方の美味そうな匂いと音がする。

二日も飯を食えないジンジンする体を、三畳の部屋に横たえている事は、まるで古風なラッパのように埃っぽく悲しくなる。生※が煙になって、みんな胃のふへ逆もどりだ。

ところで呆然としたこんな時の空想は、まず第一に、ゴヤの描いたマヤ夫人の乳色の胸の肉、頬の肉、肩の肉、酢っぱいような、美麗なものへ、豪華なものへの反感! が、ぐんぐん血の塊のように押し上げて、私の胃のふは、旅愁にくれてしまった。

外へ出る。

町には魚の匂いが流れている。

公園に出ると、夕方の凍った池の上を、子供達がスケート遊びをしていた。

固い飯だって関いはしないのに、荒れてザラザラした唇には、公園の風は痛すぎる。子供のスケート遊びを見ていると、妙に切ぱ詰った思いになって、涙が出る。どっかへ石をぶっつけてやりたいな。

耳も鼻も頬も桃のように紅くした子供の群が、束子でこするように、キュウキュウ厭な音をたてゝ、氷の上をすべっている。