Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

私は野そだち、誰にも世話にならないで生きて行こうと思えば、オイオイ泣いてはいられない。男から食わしてもらおうと思えば、私はその何十倍か働かねばならない。

真実同志よと叫ぶ友達でさえ嘲笑う。

歌をきけば梅川よ

しばし情を捨てよかし

いづこも恋にたはむれて

それ忠兵衛の夢がたり

詩をうたって、いゝ気持で、私はかざり窓を開けて夜霧をいっぱい吸った。あんな安っぽい安ウイスキー十杯で酔うなんて……あああの夜空を見上げて御覧、絢爛がかゝったな、虹がかゝった。

君ちゃんが、大きい目をして、それでいゝのか、それで胸が痛まないのか、貴女の心をいためはせぬかと、私をグイグイ掴んでいる。

やさしや年もうら若く

まだ初恋のまぢりなく

手に手をとりて行く人よ

なにを隠るるその姿

かつて好きだった歌ほれぼれ涙におぼれて、私の体と心は遠い遠い地の果にずッ……とあとしざりしだした。

そろそろ時計のねじがゆるみ出すと、れいの月はおぼろに白魚の声色屋のこまちゃくれた子供が、

「ねえ旦那! おぼしめしで……ねえ旦那おぼしめしで……。」

もうそんな影のうすい不具なんか出してしまいなさい!

何だかそんな可憐な子供達のさゝくれたお白粉の濃い顔を見ていると、たまらない程、私も誰かにすがりつきたくなった。