Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
「どう? 少しは暖い!」
「大丈夫よ……。」
十子は蒲団を頬迄しずり上げると、虫の様に泣き出してしまった。
午前一時。
二人で支那そばを食べる。
朝から何もたべていなかった私は、その支那そばがみんな火になるような気がした。
炬燵がなくとも、二人でさしあって蒲団にはいっていると、平和な気持ちになる。いゝものを根限り書こう――。
二月八日
朝六枚ばかりの短編を書きあげる。
此六枚ばかりのものを持って、雑誌社をまわる事は憂鬱になって来た。十子食パンを一斤買って来る。
古新聞を焚いて茶をわかしていると、暗澹とした気持ちになって、一切合切が、うたかたの泡より儚なく、めんどくさく思えて来る。
「私つくづく家でも持って落ちつきたくなったわ、風呂敷一ツさげてあっちこっち、カフェーや、バーをめがけて歩くの心細くなって来たの……。」
「私なんか、家なんかちっとも持ちたくなんぞならないわ。此まゝ煙のように呆っと消えられるものなら、その方がずっといゝ。」
「つまらないわね。」
「いっそ、世界中の人間が、一日に二時間だけ働くようになれば、あとは野や山に裸で踊れるじゃないの、生活とは? なんて、めんどくさい事考えなくてもいゝのにね。