Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
お君さんの養母やお君さんの子供や何だかごたごたしたその家庭は、めんどくさがりやの私にはちょいとわかりかねた。
お君さんもそんな事はだまっている。
私もそんな事を聞くのは腹がいたくなる。二人共だまって、電車から降りると、青い青い海を見はらしながら丘へ出た。
「久し振りよ海は……。」
「寒いけど……いゝわね海は……。」
「いゝとも、こんなに男らしい海を見ると、裸になって飛びこんでみたいね。まるで青い色がとけてるようじゃないか。」
「ほんと! おっかないわ……」
ネクタイをひらひらさせた二人の西洋人が、雁木に腰をかけて波の荒い風景にみいっていた。
「ホテルってあすこよ!」
目のはやい君ちゃんがみつけたのは、白いあひるの小屋のような小さな酒場だった。二階の歪んだ窓には汚点だらけな毛布が青い太陽にてらされて、いいようのない幻滅だった。
「かえろう!」
「ホテルってこんなの……。」
朱色の着物を着た可愛らしい女が、ホテルのポーチで黒い犬をあやして一人でキャッキャッ笑っていた。
「がっかりした……。」
二人共又おしだまって向うの向うの寒い茫々とした海を見た。
鳥になりたい。
小さいカバンでもさげて旅をするといゝだろう……君ちゃんの日本風なひさし髪が風にあれて、雪の降る日の柳のようにいじらしく見えた。