Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
田舎娘になって、おぼこらしく顔を赤めてお茶を召し上れか、一生に一度はこんな芝居もあってもいゝ。
キイラリ キイラリ、車井戸のつるべを上げたりさげたりしていると、私も娘のように心がはずんで来る。
あゝ情熱の毛虫、私は一人の男の血をいたちのように吸いつくしてみたいような気がする。
男の肌は寒くなると蒲団のように恋しくなるものだ。
東京へ行こう!
夕方の散歩に、いつの間にか足が向くのは駅。駅の時間表を見ていると涙がにじんで来る。
十二月×日
赤靴のひもをといてその男が上って来ると、妙に胃が悪くなりそうで、私は真正面から眉をひそめてしまった。
「あんたいくつ……。」
「僕ですか、廿二です。」
「ホウ……じゃ私の方が上だわ。」
げじげじ眉で、唇の厚いその顔を何故か、見覚えがあるようで、考え出せなかったが、ふと、私は急に明るくなれて、口笛でもヒュヒュと吹きたくなった。
月のいゝ夜だ、星が高く流れている。
「そこまでおくってゆきましょうか……。」
此男は妙によゆうのある風景だ。
入れ忘れてしまった国旗の下をくゞって、月の明るい町に出ると濁った息をフッと一時に吐く事が出来た。