Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
私は、肺病で狂人じみている、その不幸な男の為に、あのランタンの下で、「貴方一人に身も世も捨てた……」と、唄わなくちゃあならないのだ。
夕暮れの涼しい風をうけて、若松町の通りを歩いていると、新宿のカフェーにかえる気もしなかった。
ヘエ! 使い果して二分残るか、ふっとこんな言葉が思い出された。
「貴方! 私と一緒に温泉に行かない。」
私があんまり酔っぱらったので、その夜時ちゃんは淋しい瞳をして私を見ていた。
七月×日
あゝ人生いたるところに青山ありだよ、男から佗びの手紙来る。
夜。
時ちゃんのお母さん来る。五円借す。
チュウインガムを噛むより味気ない世の中、何もかもが吸殻のようになってしまった。
貯金でもして、久し振りにお母さんの顔でもみてこようかしら。
私はコック場へ行くついでにウイスキーを盗んで呑んだ。
七月×日
魚屋のように淋しい寝ざめ。四人の女は、ドロドロに崩れた白い液体のように、一切を休めて眠っている。私は枕元の煙草をくゆらしながら、投げ出された時ちゃんの腕を見ていた。
まだ十七で肌が桃色していた。
お母さんは雑色で氷屋をしていたが、お父つぁんが病気なので、二三日おきに時ちゃんのところへ裏口から金を取りに来た。