Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
ガラスの蓋をした二ツの箱には、おみくじや、固い昆布がはいっていて、いっぱいほこりをかぶっていた。
「お婆さん、その豆一皿ください。」
五銭の白銅を置くと、しなびた手でお婆さんは私の手をはらった。
「ぜゞなぞほっとき。」
此お婆さんにいくつですと聞くと、七十六だと云った。
虫の食ったおヒナ様のようにしおらしい。
「東京はもう地震はなおりましたかいな。」
歯のないお婆さんはきんちゃくをしぼったような口をして、優さしい表情をする。
「お婆さんお上り。」
私がバスケットから、お弁当を出すと、お婆さんはニコニコして、玉子焼きを口にふくらます。
「お婆あはん、暑うおまんなあ。」
お婆さんの友達らしく、腰のしゃんとしたみすぼらしい老婆が、店の前にしゃがむと、
「お婆あはん、何ぞえゝ、仕事ありまへんやろかな、でもな、あんまりぶらぶらしてますよって、会長はんも、えゝ顔しやはらへんのでなあ、なんぞ思うてまんねえ……。」
「そうやなあ、栄町の宿屋はんやけど、蒲団の洗濯があるいうてましたけんど、なんぼう……廿銭も出すやろか……。」
「そりやえゝなあ、二枚洗ろうてもわて食えますがな……。