Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

寧子の胸

寧子の胸

「こひ!」

浅野又右衛門は、家に帰ると、すぐ大きな声で、妻の名をどなった。

於こひは、あわただしく、出迎えて、

「お帰りなさいませ」

「酒の支度せい」

いきなりいって――

「お客を拾うて来たぞ」

「それはそれは。どなた様でいらっしゃいますか」

「娘の友達だ」

「ま……」

と、後からはいって来た藤吉郎の姿を見て、

「木下様でございますか」

「こひ」

「はい……」

「武家の妻として、不埒であろうぞ。――今日までわしに黙っておるなぞ。木下殿と娘とは、夙くからお交際をして戴いておるそうではないか。存じておりながら、なぜわしに黙っていたか」

「お叱りうけまして、恐れ入りました」

「恐れ入るではすまない。とんだ親馬鹿を知られてしもうたわ」

「けれどお手紙などいただいても、寧子は、私に隠していたことはございませぬ」

「当りまえじゃ」

「それに、寧子は、聡明でございます。決してまちがいはないと、母のわたくしが、信じておりますゆえ、世間の男たちから、ままつまらぬ文など送られても、左様なこと、いちいち貴方様までの、お耳を煩わすまでもないことと存じまして」

「その通り、そちまでが、わが娘を買いかぶっている。