Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
「……実に、どうも」
「さ、帰りなさい。何をもじもじしておられる。そういう放言をして歩くからには、以後は断じて、宅へ出入りはお断りする」
「はい。もう祝言すると、披露に及ぶ日までは、慎んでいることにいたしまする」
「ば、ばかなッ」
と、又右衛門も、遂に、温和な面を破って、呶鳴りつけた。
「いつになろうと、誰が、お身などへ寧子をくれるものか。たとえ、嫁けというても、寧子が承知するものでもない」
「さ。そこのところです」
「何が、そこだ」
「恋ほどあやしきものはございませぬ。寧子どのは、私のほかに、良人は持たぬと、胸に秘めておいででしょう。失礼ながら、又右衛門殿には、自分が嫁にゆくような勘ちがいをしておられるのではございませぬか。――私が、妻にと望んでいるのは、寧子どのであって、あなたでございませぬが」
押し太い男もあればあるもの――と、又右衛門は呆れ顔に、黙ってしまった。
今に帰るだろう。
いくら厚顔な男でも、こういうまずい顔を示していれば――。
又右衛門は、そう考えて、いつまでも渋面と無言を守っていた。けれど藤吉郎は、帰るふうもなく坐っていた。
それのみか、恬として、