Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「手間どろう。それに及ばん。自身そこへ参ったほうが早い」
と、案内を急き立てる。
貞能は先へ小走りに駈けた。家康も大股にあるいた。強右衛門がいるのはお表の口に近い端部屋である。そこらにいた小侍たちは家康のすがたを見て狼狽を極めた。
厚い板扉を開けて、奥平貞能は中へ入るなり、大声で告げた。
「強右衛門、強右衛門。殿御自身、これへお運びであるぞ」
疲労のあまり、もしや彼が、そこに横たわってでもいたらと、先触れを急いだのであった。
が、強右衛門は、同じ所に、同じすがたのまま、ぽつねんと坐っていた。
一椀の粥だけは、そこですすったとみえて、低い足付膳が片すみに寄せてあった。
遠く退って平伏した。
「あの男か」
家康は勝手に座を取って坐った。あとから追いかけて来た家臣たちが、敷物やら脇息やらをすすめたが、それを取ろうともせず、しばし見つめていた。
「お答えしたがよい」
貞能に促されて、強右衛門は初めて口をひらき、貞昌の家来たることを告げ、また、つまびらかに城中の窮迫と苦戦の実状を話した。
家康は、頷き頷き聞いているうちに、何度も眦を指で抑えた。
「――強右衛門とやら、万死に一生もあるまじき中を、よくこれまで使いに参ってくれたな。