Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
苦衷
殊さらに、そう糺したくなる程、秀吉の面は、変り果てていた。
出陣のときの彼と、いま見る彼のすがたとは、別人のようである。眼はくぼみ、少し赤いまばらな髯は、たわしのように唇のまわりに伸びていた。
――苦労したな。
信長にはすぐ察しられた。
「筑前」
「はい」
「何しに見えた。忙しげに」
「陣中、寸閑も、抜き差しならぬ身にござりますゆえ」
「さ。……その其方がじゃ、何で急に抜けて来たか」
「おさしずを仰ぎたい儀がございまして」
「さてさて、厄介な大将。すでに指揮は、そちに一任してあるに、事ごとに、信長の意見を問うていたのでは、機微な用兵にあたって、おそらくは間に合うまい。……なぜこのたびに限って、そう固くなっておるか。そちの果断をもって振舞わんか」
「ごもっともな御焦躁です。が、御命令はつねにわが君の御一途から出でねばなりません」
「信長が授けた軍配、そちにはそれを右するも左するも免されているではないか。信長の意志だにそちの肚に分っておれば、そちのする指揮は、信長の指揮じゃ。何を惑うぞ」
「おそれながら、それゆえにこそ、いささか苦心いたしております。また、一兵たりと、あだには死なせじ。