Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
菊窓閑話
て、ぽたぽたと涙をこぼしていた。
その眼のまえに、竹花入れの白菊は、弥白く、弥匂やかに、ようやく、根から水をあげていた。
菊窓閑話
つい涙ぐんで、いま、軍務の苦労も一通りでない主君に、ちょっとでも、気弱い心をいだかせたのは、臣として不忠、武士として不覚、申し訳ないことと、半兵衛重治はすぐ心のうちで身を叱った。
「血ぐさい長の御陣に、さだめしお労れもあろうかと、ふと庭さきの菊一輪、竹花入れに移してそれへ置きましたが、お眼をなぐさめて戴いて仕合わせです。――花も、半兵衛も」
さっきから秀吉も、顔をそむけて、熱い眼のやりばを、床の花に紛らせている容子なので、突きつめた話をそれへ逸らすべく、わざと半兵衛からそういったのである。
「ウむ。寔に、寔に」
暗然と――ただ口を閉じていた秀吉は、そのことばに、ほっと救われたように、幾度も、花に向って頷いた。
「いいにおい!」
そういって、
「平井山の陣地にも、野菊は咲いていたろうが、かかる香いは気づかなかった。かかる色も眼にはなかった。――血草鞋に踏みつけておってはな。はははは」
と、ようやく、半兵衛を正視して、なお強いて病人へ陽気な感じを持たせようと努めた。