Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「承知した。ここ両三年を期して、また、信濃でお目にかかりましょう」
家康は、にこやかに答えた。――信長のことばはすでに彼に対して、幾分かずつ対等を欠いて来ている。同盟国とはいえ、総領の兄が弟にものをさしずするような風があった。
家康は甘んじて、命をうけた。けれどその後、三河、遠江のうちにあった武田氏所属の城砦十何ヵ所というものを、毎月のように、一城一城攻め取って行った。たとえば、長篠の戦後すぐ、足助城をやぶり、六月には、作手、田峰などを攻略し、七月には武節を、八月には諏訪ヶ原を――というような目ざましい進出をつづけた。
長篠の敗戦は、武田方にとって、たしかに致命的なものだった。
信玄以来の宿将や謀士の悉くが――といってよいほどな数が、この戦で亡われた。
もっと大きな損失は、不敗の信念が失われたことである。必勝の信念がない軍隊はもう枯葉を落しはじめた秋風林と同じだった。剛将勝頼の胸にも、悲風蕭々たるものがあったであろう。
けれど、信玄の子だ。信玄の全部をうけず、信玄の一面だけを持った子である。そんな深傷を長篠にこうむりながらも、なお、
「われ、甲山にあり」