Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
きょうは、そう気づいて、腿の肉を削りに出たのだ。うんと汗をかこうと思う」
「では、殿には、ひそかに玄徳の志をお抱きですな」
「ばかを申せ。わしに望蜀の意はあるとしても、あんな山地の一方に屈して、曹操、孫堅ごとき者と争い、互角に一生を終るなど、手本とはいたしたくない。彼は、日没する国の英雄、わしは日出ずる国の民、秀吉の望みはちとちがう」
「働き栄えがありますな。われわれもこの先は」
「もとよりだ。腿に肉を蓄えるなよ」
「だいじょうぶです」
茂助がいうと、片桐助作、平野権平なども、
「痩せています。この通りに」
と、鞍のうえの腿を叩いた。
「もっと痩せろ。そち達、少年の肉は、刀のごとく鍛って鍛って細身にするほど斬れ味はよくなるものだぞ。さ、つづいて来い」
平野へ下るのかと思うと、七尾村から伊吹へ向って、山道を登りはじめた。
腹も空いた、喉も渇きぬいて来た。二刻あまりも山野を駈けたあとである。
「どこかないか。湯漬なと所望するところは」
午下がりの陽をあたまから浴びながら、秀吉以下の者たちは、伊吹の裾を馬けむりあげて降りて来た。
「ありました、ありました」
先に、麓の小部落へ駈け入っていた福島市松が、すこし駒を返して来て、曲り道で手を振っていた。